top of page

現当主で11代目となる爪搔本綴の老舗「清原織物」のブランド、「SOHACHI」と「京きもの蓮佳」のコラボレーションにより、美しい懐紙入れが誕生しました。

【 綴について 】

綴織とは、約4000年前エジプトのファラオの墳墓から発見されたものが人類最古の綴織と言われるほど原始的でありながら、人類の歴史と共に発展してきた織物です。
時代を超え、国境を越えて日本で進化した綴は、「爪掻」と言う職人がギザギザに削った爪で糸を織り込んでいく技術によって芸術性が開花しました。

【 清原織物について 】

清原織物は、織手に卓越した技術と優れた美意識、多彩な表現力が無ければ織ることができない「爪織綴錦」を得意とし、織物の世界で最高級品とされる爪掻本綴の帯を生み出してきた他、結納品、緞帳、祭りの胴掛、力士の化粧廻など、ハレの日を彩る作品を制作してきました。

その中で生まれた「SOHACHI」は、特別な日を彩ってきた伝統技術を、日常使いが出来る名刺入れや懐紙入れ、ラグなどに落とし込んだブランドです。

蓮佳は2017年清原織物の工房を訪ね、綴の美しさに魅了されました。
敢えて正直に申しますと、綴は「結納の掛袱紗や打敷に使われる、儀礼的なもの。」「帯としては最高峰だけれども、締めにくくて渋い、ちょっと時代を感じるもの。」と思っておりました。
その考えは清原織物さんの作品を拝見し、一瞬で吹き飛びました。
そして、綴が縁遠く感じていたことが、偏った大変な誤りであったことに気付きました。

綴が、今新しい。

そんな価値観を生み出しておられるのが現当主、清原聖司さんです。
清原さんは建築業界で学んだ後に家業を継承されたという異色の経歴の持ち主です。
一度外から伝統産業業界を俯瞰されただけに、呉服業界の斜陽に対し、素晴らしい技術が人知れず失われていくことに危機感を抱かれ、綴の魅力を伝えていくことに情熱を持って取り組まれています。

まず清原さんが取り組まれたのが、多彩な色を職人の技術で表現していく綴を最もシンプルな形にした、カラーブロックの黄金比名刺入れでした。
革の名刺入れをお使いになっている方は頷いていただけると思いますが、男性のスーツの内ポケットや、着物の時の名刺に革製品を使うと、形が表から浮き出てしまいます。
綴は織物であるためボディーラインに馴染んで湾曲する為、見た目が非常にスマートです。
これは着物を着る方にとって素晴らしい利点です。

また、伸縮性がある為名刺をたくさん入れることが出来ます。
何よりも、今まで「綴と言えば昔から変わらずこれです。」という常套文句が使われてきていたデザインを一新されたこと。
極限までシンプルなデザインにしたことで、伝統的な織物を世界に通じるプロダクトとされたこと。

綴の持つポテンシャルを、新しく提示されたのです。

【 コラボレーション懐紙入れのこだわり、開発秘話 】

今回清原さんが蓮佳とのコラボレーションを快く引き受けてくださり、着物を着る方にとって嬉しい「懐紙入れ」をデザインさせて頂きました。
着物生活をされている方にとって、コップで飲料を頂く時、何かさっとお礼やお土産をお包みする時、お食事の時の受けに・・・と、懐紙を持ち歩く必要性に気付かされた方は多いと存じます。
この役目はハンカチでは代用できないのですね。
かといって、数寄屋袋を持ち歩くには大きなバッグが必要で、いつもの小さいバッグに入らない。
素敵な懐紙入れが欲しくても、名物裂の写しや縮緬の型染など、伝統的な品しか見当たらない—。

「であれば、創ろう!」
ということで、屈折一年、何度も何度も打ち合わせを重ね、やり取りを通して、日本の美しい4つの節気をイメージした懐紙入れが出来ました。

「清明」—4月5日頃。春の息吹を感じる、全てが目覚める時。伝統色のパーソナルカラーの対応は「春」。

「白露」—9月8日頃。暦の上では秋ですが、晩夏の名残を間感じる季節。伝統色のパーソナルカラーの対応は「夏」。

「霜降」—10月23日頃。秋霖に山が赤く染まる時期。伝統色のパーソナルカラーの対応は「秋」。

「雨水」—2月19日頃。まだ雪深いところもありつつ、少しずつ雪解けが進む春待ちの季節。伝統色のパーソナルカラーの対応は「冬」。

この季節の移ろいを、美しいグラデーションで表現したのが「割杢(わりもく)」の技術です。
そもそも「杢糸(もくいと)」とは、緯糸のみでグラデーションを表現する綴織にとって不可欠な糸のことで、違う濃度の糸を半分に割り、撚り合わせて一本の糸にします。
この技術のことを「割杢」と言います。
糸を職人が自分で創り、表現する。
そうしてできた糸を何越で出していくかを微妙に変えていき、自然なグラデーションに見えるように織り上げていきます。
これは手織りだからこそ可能な技術です。

今回は通常同じ色相で濃度が違う糸をグラデーションにすることが多い割杢を、敢えて反対色の色相の糸で表現しました。
その為シンプルながら技術的には難しく、自然なグラデーションに見せる為糸の濃度、彩度、糸のバランスを何度も試織しました。

次に蓋の手掛かりとなる部分に金銀色を織り込み、ザラザラな質感で開きやすく機能性と視覚的な美しさを持たせました。
表から見える、数ミリにこだわった金銀糸の糸の出方がポイントです。
また、かがり縫いにしている横の縫い上げにも、数本に一本金銀糸を組み込み、お洒落感を演出しました。

1年がかりで生み出した懐紙入れ、蓮佳自身も本来の懐紙を入れ持ち歩いている他、バッグの中で折れたり汚れたりしやすい小さな祝儀袋や一筆箋も入りますので、バックインポーチとして大変重宝しております。
また、バッグの中に入れたものによってしなやかに形を添える綴の特性によって、小さなバッグの中でも場所を取りません。

見た目にも美しいので、お使い物、ご進物としてもお客様にお喜び頂いております。
お財布としても使えますから、外国の方へのお土産にもいいですね。

綴の新しい可能性を表現した美しい懐紙入れ、着物を着る方の嗜みとして、是非あなたのバッグに一つ、しのばせて頂けますと幸いです。

----------------------

こちらの商品は、小売店様、百貨店様に於いてお取り扱い頂いております。
新たにお取引頂ける先様はお問合せください。

懐紙入れ | 手織 割杢 「清明」「白露」「霜降」「雨水」SOHACHI×蓮佳

¥25,000価格
カラー展開
    • 素材  正絹
    • 長さ  180mm
    • 奥行  110mm
    • 季節  通年

関連商品

bottom of page