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秋を彩る秋明菊のことを、京都では貴船菊と呼びます。

毎年、9月~10月下旬まで、鞍馬の参道に白や紫の可憐な花を咲かせます。

 

白洲正子は著書『花』(神無書房)の中で、花の心をこのように描いています。

 

「鞍馬の奥、貴船神社の境内は、うっそうとした樹林にかこまれており、高い崖によりそって、薄紫の貴船菊が、和泉式部の魂のような姿をして咲き乱れている。その風情が忘れられなくて、京都から持って来て植えてみたが、関東の土は肥えすぎているのか、頑丈な木のように育ってしまった。色も薄紫ではなく、白の八重で、関東では貴船菊のことを、秋明菊と呼んでいるわけがわかったような気がする。やはり植物も女性も、京都の土でなくては、あのように情趣にみちた姿に開花せぬのであろうか。」

 

白洲正子が例えた和泉式部の代表作で、百人一首にも選ばれている一首に、

 

「 物思へば 沢の蛍も我が身より あくがれ出づる たまかとぞ見る 」

(貴船のみたらし河のほとりに群れ飛ぶ蛍の光。

苦しく切ない恋に懊悩するわが身から浮き出る魂のようだー。)

 

とあります。

恋の苦しみに身を斬られるような、何とも切ない歌です。

 

実際に、黄昏時の白の秋明菊が杉林の下草に立ち上がり、ほわっと蕾を膨らませている様子は、群れ飛ぶ蛍、魂のようです。

 

繊細な花を、今回はアールヌーボー調のデザインで描いてみました。

白花の胡粉ぼかしの友禅と、刺繍の立体感をお楽しみください。

生地は和泉式部の和歌の心を汲み取って、銀通しを使用しました。

群れ飛ぶ蛍の光を感じていただけますと幸いです。

 

※関東腹のみに柄をつけております。

 

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【 ご着用シーン 】

 

お出かけ、観劇、お稽古に。

 

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【 伝統色のパーソナルカラー、秋、秋好中宮 】

 

オータムさん、スプリングさんのイエローベースの方向けに配色しています。

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    • 素材  正絹
    • 季節  袷
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