琵琶湖の初夏の風情でしょうか。
すっきりと立ち上がった芦に、水面が煌めく様子が織りで見事に表現された、詩情あふれる逸品です。
東京国立近代美術館収蔵の小野竹喬作「池」に着想を得て制作されたものですが、本歌の牧歌的な絵を、立体感のある立ち上がりに見せた紫紘さんの技術力と、絵画調にぼかしを施した表現の幅の広さをお楽しみいただけることと存じます。
まずもって、手機の濡れ緯でこのような繊細な織りを可能にしてしまうこと自体、今の西陣に於いても他にない織匠さんであることは間違いありません。
紗袋を織ることのできる職人さんも減っている今、このように夏の袋帯の秀作を数多く制作してくださることに感謝です。
紫紘さんの紗袋は、濡れ緯(ぬれぬき)と言って、糸を湿らせながら織ることにより、打ち込みのしっかりしたしなやかな織生地となります。
汗をかく季節に、へたることのない地組織が、夏の着姿を涼しく保ってくれます。
西陣織の名門、「紫紘」。
源氏物語絵巻を西陣織で表現するという途方も無い仕事をライフワークとされ、素晴らしい帯の数々を残された故・山口伊太郎氏が創設した言わずと知れた名門の織匠。
山口伊太郎氏は、70歳から105歳でご逝去されるまで、国宝・源氏物語絵巻を西陣織で創作し、37年の歳月をかけて全4巻を製作されたことで有名です。
西陣織の芸術性、創造性を極限まで高めた人物として、西陣ではその名を知らぬ人はおりません。
紫紘さんの帯のファンの方もたくさんいらっしゃる事と存じます。
伊太郎氏が突き詰めた表現を、確実に、着実に受け継ぎながら、日々現代の意匠を取り入れ新しい創作を続ける紫紘さんの帯。
「あぁ、ええ仕事っていうんはこういう事なんや。」と腑に落ちる、引き算の図案と選び抜かれた糸の配色。
それを身に纏う喜びを是非感じて頂きたいと思います。
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【 ご着用シーン 】
夏の茶会、単衣の時期の伝統芸術の発表会、鑑賞会等でお召しください。
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【 伝統色のパーソナルカラー、夏、花散里 】
こちらの帯はソフトトーンが映えるサマーさんにお勧めです。
同じく、ニュアンスカラーがお似合いのソフトオータムさんにも着こなして頂けます。
袋帯 | 紫紘 紗 池文
- 素材 正絹
- 幅 8寸2分仕上がり基準
- 季節 夏単衣
- TPO 礼装に