この帯があると、秋が待ち遠しくなります。
錦秋とはこの帯の為にあるような言葉です。
朱のみで数色の濃淡、あま撚りの糸と撚糸を使い分け、ふんだんに使われた金糸は、まるで秋麗の光に照らされた照葉のよう。
まさに、「竜田の川の錦なりけり」の境地です。
京都市内に於いて紅葉で有名な名所は数々ございますが、私はいつもこの帯を眺めると、鷹峯にあります『源光庵』を思い出します。
悟りの窓と言われる円形の窓と、迷いの窓と言われる四角の窓がございまして、悟りの窓から眺める円形は禅で申すところの、ありのままの悟りの境地、四角の窓は釈尊の説く人間の四苦、即ち生老病死を差すそうです。
円相とは宇宙観を表すものでもあるそうですが、「己の心の窓」とも言われます。
季節は廻り、秋が毎年訪れますが、一度として同じ秋の時はありません。
この帯と共に、是非「心に残る秋」をお過ごし頂きたく思います。
西陣織の名門、「紫紘」。
源氏物語絵巻を西陣織で表現するという途方も無い仕事をライフワークとされ、素晴らしい帯の数々を残された故・山口伊太郎氏が創設した言わずと知れた名門の織匠。
西陣織の芸術性、創造性を極限まで高めた人物として、西陣ではその名を知らぬ人はおりません。
紫紘さんの帯のファンの方もたくさんいらっしゃる事でしょう。
伊太郎氏が突き詰めた表現を、確実に、着実に受け継ぎながら、日々現代の意匠を取り入れ新しい創作を続ける紫紘さんの帯。
「あぁ、ええ仕事っていうんはこういう事なんや。」と腑に落ちる、引き算の図案と選び抜かれた糸の配色。
それを身に纏う喜びを是非感じて頂きたいと思います。
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【 ご着用シーン 】
光悦会、口切、七五三等に。
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【伝統色のパーソナルカラー、秋、秋好中宮】
この帯は、オータムさんの中でも純色の似合う、セカンドカラーがスプリングの方にお勧めです。
勿論スプリングさんにもお召し頂けます。
袋帯 | 紫紘 楓文
- 素材 正絹
- 幅 8寸2分仕上がり基準
- 季節 袷
- TPO 礼装に