花筏の染帯

「花筏」
桜の花びらが川面を束になって流れていく様を筏に例えて表した美しい言葉は、春の季語です。
工芸意匠としても古くから伝わり、中でも高台寺蒔絵の花筏は有名です。
筏は、人生という大きな川をたゆたう我々自身の比喩でもあります。
儚くも、その生命は実に美しいもの。
同じ桜を見ることは二度とないように、一瞬一瞬の時を大切に噛みしめていきたいものです。
この染帯は、初夏まで楽しめるよう移ろいゆく春の風景を花筏に乗せて表現しました。
帯の紋丈を長く取りましたので、藤の季節は上部を、青紅葉の5月頃は帯の下部を出すように締めていただきますと長く楽しんでいただけます。