京都の桜は、「おかめ桜」に始まり「御室桜」に終わると云われます。
私は京都の桜の中で、近衛の「糸桜」が一等好きです。
古くは洛中洛外図屏風にも描かれ、謡曲「西行桜」にも謳われた近衛邸の桜。
今見られるのは昭和に植えられたものですが、枝先が何とも甘美な朱色に染まり、俯きがちで可憐な白い花が仄かに咲き出で、風に揺れる様子は幻想的です。
西行が生涯愛した桜。
先日吉野の西行庵までお参りして来ましたが、西行さんは、足を踏み外せば滑落するような細道の先に庵を結んでおられました。
そこは山と山の丁度境目で、冬には最も風雪が吹きすさぶだろう、過酷な場所にありました。
厳寒の冬を越え、山ごと春に包まれる歓びは、灯りの無い時代にどんなにか待ち望んだことであっただろうかと感じます。
孝明天皇の御製にこのような歌がございます。
昔より 名には聞けども 今日見れば むべ目かれせぬ 糸桜かな
一時も目が離せなく、そして忘れられなくなってしまう・・・まるで一目惚れの境地ですね。
この着物は、満開になる手前、3分咲きの糸桜をイメージしました。
上前に一筋の糸桜が揺れるのみで、裾は引染の流水ぼかしに花弁が散る程度。
すっきりと花を活かす為、お胸の柄は無し、お袖は花弁のみ散らしました。
透けるような花びらの美しさを演出する為、ごく僅か刺繍で陰影をつけております。
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【 ご着用シーン 】
観桜会やお出かけ、観劇に。
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【 伝統色のパーソナルカラー:冬、明石の御方 】
すっきりとした淡い色はウインターさんの得意カラー。
黒の帯を合わせて頂けましたら素敵な一揃えとなります。
同じブルーベースのサマーさんがお召しになる時は、帯締めを薄紫に。
純色が映えるスプリングさんがお召しになる時は、帯締めを朱になさって頂けますと綺麗に着こなして頂けます。
訪問着|青磁地 流水に糸桜
- 素材 正絹
- 季節 袷
- TPO 観桜会やお出かけ、観劇に
- お仕立て納期 ご注文受付から約1カ月~一カ月半(ご着用日が決まっている方はご相談ください)