まさに、紅の雲。
フィレンツェで彫金を学んだ女性作家がデザインする、繊細な帯留。春の帯留シリーズは、桜をテーマに創られています。
その中で蓮佳がセレクトさせて頂いたのは、この満開の桜を映した帯留。
無地の着物でもこの帯留を一つあしらえば、春爛漫を表現出来ます。
中村ゆき子さんの作品は、ご自身が着物をお召しになるだけあって、着物の所作を邪魔せず、かつ見た目に重厚感がありながら軽いという「着る人」の立場に立った物創りをなさいます。
この帯留も例外でなく、大ぶりでありながら軽いのが嬉しいところ。
また、美は細部に宿ると言いますが、前から見ただけでなく後ろ側も美しい。
随所に中村さんの美意識の宿る帯留です。
以下にデザイナーの中村ゆき子さんの作品紹介文を引用させて頂きます。
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平安神宮の桜といえば、谷崎潤一郎の小説『細雪』の
象徴的な場面で、また川端康成の『古都』でも
幕開けの舞台として登場します。
その中でも川端が谷崎の「まことにここの花を花をおいて
京洛の春を代表するものはないと云っていい」を引用して、
あの繊細な描写を借景するほど。
神苑に咲き誇る八重紅枝垂れ桜は見事な美しさで、
まさに「紅の雲」と思わせます。
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中村ゆき子さんは京都生まれの女性ということもあり、着物を着る人が何を大事にするかを良くご存知でいらっしゃいます。
知的で上品な、大人の女性の一匙の可愛らしさとエレガンスを表現する絶妙なバランス。
フィレンチェに留学し彫金を学ばれた時に、ご自身でも気付かれなかった「和のデザイン」が心の奥にあることに気付かれたそうです。
帯留のシリーズ全て揃えたくなる、そんないとしい小さなコレクションです。
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【ご着用シーン】
やわらかもののお出かけ小紋に合わせて、また付下訪問着に合わせて観桜の会などに。
着物や帯に一切桜を描かずとも、この帯留1つで花を連想させます。
桜が満開になる日は満月と言われますが、月下の光に照らされた銀細工は得も言われぬ美しさであることでしょう。
また、花の季節と違う場合に「西行桜」や「義経千本桜」「道成寺」など、桜に縁のある演目を観劇なさる時にもお使い頂けます。
【 中村ゆき子 】
デザイナー・中村ゆき子が手掛けるハンドメイドジュエリー。
自然界の数理的な造形にインスパイアされ、幾何学に独自のスタイルでアプローチする一方、フィレンチェで学んだ手彫り装飾をシンプルでモダンなフォルムに仕立てるなど、空間軸、時間軸の広がりを意識したデザインで、探究心ある女性のエレガンスを追及することを目指しています。
中村 ゆき子
1982年 京都生まれ。
大学で西洋史を専攻した経緯から、装飾と社会文化のあり方に関心をもつようになる。
卒業後、彫金によるジュエリーメイキングを学びはじめ、関西を中心にさまざまな指導者のもとで制作技術を磨く。2011年から一年間、イタリアに滞在する。
フィレンツェの宝飾専門学校にて伝統的な手彫り装飾技術に出会い、 その金属表現の美しさに魅了される。帰国後、京都を拠点に制作活動を開始。
2013年からブランド名を「リネアドット」として百貨店催事に出店するほか、和装小物の開発などに携わる。
帯留 | 「古都」 彫金 銀細工
- 素材 銀
- サイズ 三分紐用
- 長さ 53mm
- 幅 23mm
- 季節 袷
- TPO お出かけ小紋・付下訪問着