紫紘さんの正倉院御物からアレンジされた佳作は数多いですが、この一本もそのうちの一つです。
2024年度公開された正倉院展の出品リストにもございましたが、本歌は「金銅花形裁文」で、銅板を切り透かし、花や唐草文の線刻を入れたものです。
中央には鈴、深緑色の硝子玉や水晶を嵌め込み、軽やかかつ華やかな作品に仕上げられています。
未だ輝きを放つ宝物で荘厳されていた仏堂内はいかに美しかったことでしょうか。
今年は聖武天皇即位1300年の年とのことですので、聖武天皇と光明皇后の美学に触れる良い機会かと存じます。
さてその宝物も、紫紘さんのデザイン力により、地は焼銀の引箔、お腹は華文のリースにアレンジされ、凝った作りでありながら抜け感も感じるお洒落さも醸し出す意匠となりました。
本歌取りの作品は数多いですが、紫紘さんは優れたアレンジで本歌を超えてくるところに、いつも感嘆の想いです。
お初釜や口切の茶地、美術鑑賞のお席などにいかがでしょうか。
西陣織の名門、「紫紘」。
源氏物語絵巻を西陣織で表現するという途方も無い仕事をライフワークとされ、素晴らしい帯の数々を残された故・山口伊太郎氏が創設した言わずと知れた名門の織匠。
西陣織の芸術性、創造性を極限まで高めた人物として、西陣ではその名を知らぬ人はおりません。
紫紘さんの帯のファンの方もたくさんいらっしゃる事でしょう。
伊太郎氏が突き詰めた表現を、確実に、着実に受け継ぎながら、日々現代の意匠を取り入れ新しい創作を続ける紫紘さんの帯。
「あぁ、ええ仕事っていうんはこういう事なんや。」と腑に落ちる、引き算の図案と選び抜かれた糸の配色。
それを身に纏う喜びを是非感じて頂きたいと思います。
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【 ご着用シーン 】
パーティー、茶事、結婚式等に。
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【 伝統色のパーソナルカラー、冬、明石の御方 】
焼き銀の美を着こなすウインターさん、またはオータムさんにお勧めです。
袋帯 | 紫紘 正倉院鈴入華文
- 素材 正絹
- 幅 8寸2分仕上がり基準
- 季節 袷
- TPO 礼装に