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初めてこの染帯を拝見した時は、思わず目が点になってしまいました。

 
ある京友禅職人が遺した独創的な技法、「画更紗(かきさらさ)」の染帯をご紹介致します。
これは蓮佳が創る着物のほぼ全ての品で友禅を挿して頂いている友禅師さんの、伯父さんにあたる友禅職人が制作されたものです。
一本のみ大切に保管されて来ましたが、この度有縁の方にこの帯を楽しんで頂ける方があれば、ということで持ち込まれ、蓮佳がお預かりさせて頂くことになりました。
 
室町以降、諸大名や茶人に大変な人気を博した更紗文様。
おおらかな曲線と異国情緒溢れる意匠は全ての年代の方に好まれます。 
本来は綿に手描きや蝋纈染で染められる更紗ですが、日本に渡ってからは国内でも積極的に意匠が取り入れられ、絹に友禅染で染められた更紗も多く創られるようになりました。
 
友禅の更紗は、伊勢型を使った型染、捺染、糸目友禅が多いのですが、この染帯は何と全てが手描きなのです!
一点一点の点描もさることながら、驚くべきは背景となる紗摺りの絣に見えるところも一本ずつ線で描かれていることです。
点描画の巨匠・シスレーも驚くに違いない驚異の集中力で描かれた意匠は、その研ぎ澄まされた線とはうらはらに何ともおどけた愛らしさを持っています。
 
何故このようなことを考え付いたのか、また表現として具現化できたのか。
友禅師さんに伝え聞く限りの伯父さんの在りし日の姿をお尋ねすると、大戦中に飛行機の図面を画いておられた方だそうです。
精密な線と正確性が求められるそのポジションに於いて、心は画更紗に遊んでおられたのでしょうか。
着物を纏うことを純粋に楽しめる、今の私達の世界をつくってくださった世代の方の遊び心。
永くご愛用頂けるお客様へバトンを渡したいと思います。

 

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【 ご着用シーン 】

 

やわらかもんに合わせても楽しい更紗の帯ですが、やはり素材同士が響き合うのは温かみのある紬地でしょう。

ざっくりとした米沢の紬や、真綿のぬくもりを感じる紬、または洒落た木綿の着物に合わせて頂いても素敵です。

 

築百年を経た古民家をモダンにリノベーションした町家にお住いの方や、建築、陶芸、骨董、茶人、お蕎麦屋さんの女将様・・・。

何か一つ、自分の胸の内に灯をともしておられる方にお召し頂きたいと思います。

 

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【伝統色のパーソナルカラー:秋、秋好中宮】

 

最も着物の伝統色がお似合いになる、オータムのシーズンカラーを持つ方に、ぴったりと嵌る染帯です。

秋のカラーの方は、同じ金でも少しマットな風合いの方が映えますが、この友禅の彩度・明度やあしらいの金はまさにお誂え向き。

オータムの方の中でもソフトカラーがお似合いになる方ではなく、しっかりとしたダルトーンを着こなせる方に特にお勧め致します。

染帯 | 塩瀬 墨色 画更紗

¥230,000価格
: 墨色
    • 素材  正絹 塩瀬
    • 幅   8寸2分仕上がり基準
    • 季節  袷
    • TPO お洒落着、お出かけ、お稽古

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